ウェブサービスの請求書の出し方どうすべき?12サービスの請求書を集めて比較してみた

プログラミング
suin
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2015年10月22日 投稿
image.png (744.4 kB)

こんにちは、suinです!

suinの会社で提供しているテスト自動化サービスShouldBeeですが、
有償のプランもあり、クレジットカードで課金もできるのですが、
実は請求書の発行はスタッフが手作業でやっています。

請求書手動発行は、ユーザが増えてくるとミスも多くなりそうなので、自動発行の開発に着手しています。

ただ、請求書の自動発行と一言で言っても、細かいところを考えると疑問が結構出てきます。

  • 請求書はどんなデザインか?何を記載しているか?
  • どんな用語を用いているか?
  • 請求書のメール通知はどうなっているか?PDFを添付しているか?
  • 請求書のPDFはどのツールで生成しているか?
  • PDFのファイル名はどうなっているか?
  • クレジットカード明細の利用店名はどういう表記にしているか?

そこで今回は、他のBtoBのウェブサービスが、どんな請求書を出しているのか調査して比較してみることにしました。

加えて、suin自身も会社の経理の一部もやっていることもあり、
経理的な視点での評価も少し書いていきたいと思います。

調査したサービス

今回、請求書について調査したウェブサービスは、次の12のサービスです。
会社で使っているBtoBサービスのうち思いついたものを対象にしました。

  1. Adobe (Adobe Creative Cloudのもの)
  2. Atlassian
  3. AWS
  4. Digicert (SSL証明書購入時)
  5. Digital Ocean
  6. Docker
  7. GitHub
  8. Google (Google Apps)
  9. hasicorp (有償プラグイン購入時)
  10. LiveChat
  11. MailChimp
  12. Twilio

すべて海外のサービスになってしまいましたが、
たまたま使っているサービスが海外のものが多かったのと、
使っている日本のサービスは、請求書でPDFが出ないものが多く、
今回はPDFについても調べたかったので、PDFを発行しているサービスを中心に絞りました。

請求書のデザインと記載項目

まずは、各サービスが請求書をどんなデザインにしているか?
請求書にどんなことが記載されているかザックリ見てみたいと思います。

Adobe

adobe.png (576.4 kB)

調べたサービスの中で印鑑があるのはAdobeだけでした。
日本向けにローカライズしているようですが、
不具合なのか日本語の住所はうまく印字されません…。

Atlassian

atlassian.png (613.5 kB)

調査対象の中では、最も記載事項が多いのがAtlassianでした。
請求書と領収書を兼ねているので、支払期限の代わりに支払日になっています。
PDFの請求書は3枚構成ですが、紙面の都合上デザインは1枚目だけ載せています。

AWS

aws.png (652.4 kB)

AWSは必要最低限の情報を載せているという感じ。

DigiCert

digicert.png (607.2 kB)

SSL証明書を買った時の請求書兼領収書です。
必要な情報はちゃんと載っているかと思います。

Digital Ocean

digitalocean.png (573.9 kB)

請求書なのか領収書なのかのタイトルと、請求先の会社名くらいはほしいところ。

Docker

docker.png (583.0 kB)

あとは表題があれば完璧。

GitHub

github.png (578.7 kB)

シンプルながら領収書として十分な情報が載っていますね。

Google

google.png (603.5 kB)

Googleは日本語でPDFを作ってくれます。
必要な情報もしっかり載っています。

Hashicorp

hashicorp.png (571.5 kB)

VagrantのVMWareプラグインを買った時の請求書です。
過不足ない感じです。

LiveChat

livechat.png (578.7 kB)

Dockerと同じですね。

Mailchimp

mailchimp.png (603.8 kB)

MailchimpはPDFではなくHTMLですが、キレイに印刷できます。

Twilio

twilio.png (566.5 kB)

Digital Oceanと同じく、請求先の会社名くらいはほしいところ。

記載内容の表現と用語

調べていて、請求書に記載している用語や表現も様々だということに気がついたので、
表現と用語についてもまとめてみました。

各サービスの「表題」「請求書番号」「請求日」の表現

サービス 表題 請求書番号 請求日
Adobe Invoice Invoice No, Order No Date Issued
Atlassian Tax Invoice / Receipt Invoice Number Date Issued
AWS Amazon Web Services Invoice Invoice Number Invoice Date
Digicert Receipt / Invoice for DigiCert Order #00562455 Order Number: Date Purchased:
Digital Ocean Invoice Number Date Issued
Docker Invoice # Billed On
GitHub Receipt Transaction ID Date
Google 請求書 請求 ID, お支払い明細書番号 発行日
hasicorp Invoice 11607 Order Number Issue Date
LiveChat Invoice # Billed On
MailChimp Invoice/Receipt Invoice # Date Paid
Twilio RECEIPT Date

各サービスの「商品名」「数量」「単価」「金額」「税金」「合計金額」の表現

サービス 商品名 数量 単価 金額 税金 合計金額
Adobe Product Number and Item description Qty Price EPrice Tax Total Amount
Atlassian Product Qty Unit Price Total Total Paid: USD $30.00 Date Paid: 16 Jun 2015
AWS Total for this invoice (1 USD = 121.4319383631 JPY) JPY 39,929*
Digicert Product Purchased: Order Total:
Digital Ocean Description Hours USD Total
Docker Description Qty Price Subtotal PAID on September 17, 2015
GitHub Item Amount
Google 内容 数量 金額(¥) 消費税 合計(JPY)
hasicorp Item Quantity Unit Price Total Total
LiveChat Description Qty Price Subtotal PAID on September 17, 2015
MailChimp Invoice #
Twilio Description Amount Total Paid

請求時のメール通知とPDF添付

調べたところ、今回調査対象のサービスの多くが請求時/支払い時にメールで通知を送ってきていました。
次の表はメールの件名がどうなっているか?と、請求書PDFがメールに添付されているかをまとめたものです。

サービス メール件名 PDF添付
Adobe メールなし
Atlassian Atlassian Invoice AT-7620516: Craftsman Software, Inc.
AWS Amazon Web Services Invoice Available [Invoice ID: 59028501]
Digicert DigiCert Order Confirmation for Order# 00562455 (your order is currently being processed)
Digital Ocean DigitalOcean Payment Receipt
Docker Payment Confirmation
GitHub [GitHub] Payment Receipt for shouldbee
Google Google for Work: Your invoice is attached
hasicorp Invoice 11607 from Vagrant by HashiCorp
LiveChat LiveChat invoice receipt
MailChimp MailChimp Receipt
Twilio Twilioアカウントに自動チャージされました

経理的には、PDFがメールに添付されていると、
いちいちサイトにログインしてダウンロードしてこないでいいので助かりますね。

PDF生成ツール

どんなツールでPDFを生成しているかについて。
PDFのメタ情報に含まれている「PDF Producer」の内容を調べたものです。
調査対象のサービスのうち、この情報が残っているものだけリストアップします。

各サービスのPDF生成ツール

サービス 生成ツール
Adobe SAP NetWeaver 740
Atlassian iText 2.1.7 by 1T3XT
AWS Apache FOP
Digicert mPDF 5.7.1
Digital Ocean Prawn
Docker Recurly(PDFlib+PDI 9.0.4 (Ruby/Linux-x86_64))
GitHub Prawn
hasicorp pisa HTML to PDF
LiveChat Recurly(PDFlib+PDI 9.0.4 (Ruby/Linux-x86_64))
Twilio wkhtmltopdf

DockerとLiveChatについては、Recurlyという決済サービスを使っているようです。
Recurlyは決済だけでなく、請求書のPDF生成もしてくれるようです。
ただ、残念ながらRecurlyは日本円に対応していないようなので、海外サービスでない場合は参考にできません…。

AWSはXMLからPDFを生成できるオープンソース「Apache FOP」、GitHubやDigital OceanはRubyでおなじみの「Prawn」、DigicertはPHPのライブラリ「mPDF」、hasicorpはPythonの「xhtml2pdf(旧称:pisa)」を組み込んで使っているようです。

AtlassianはJavaのPDFライブラリ「iText」の2系を使っています。iTextは5系からAGPLなのであえて2系を使っているのでしょうか?

TwilioはHTMLをPDFに変換するコマンドツール「wkhtmltopdf」を使っているようです。

PDFのファイル名

メールに添付されるPDFや、ウェブの請求履歴からダウンロードした際のファイル名はどうなっているでしょうか?

各サービスのPDFファイル名

サービス ファイル名
Adobe IEN2015006975190.PDF
Atlassian atlassian_invoice_7620516.pdf
AWS invoice60323608.pdf
Digicert DigiCert_Receipt_562455.pdf
Digital Ocean 4777366.pdf
Docker invoice_32795.pdf
GitHub github-shouldbee-receipt-2015-10-05.pdf
Google 926033074834106-25.pdf
hasicorp Invoice-11607.pdf
LiveChat invoice_268524.pdf

ざっと見た感じでは、請求番号を含んだものが多いですね。
サービス名は含むものもあれば、含まないものもあります。

GitHubについては、「サービス名 + ユーザ名 + 請求日」がファイル名になっています。
Googleは、「アカウント番号 + 連番」がファイル名になっているようです。

経理のときに請求書を証憑として収集・保管するときは、ファイル名からサービス名・請求日が分かったほうが便利なので、
個人的にはGitHubのファイル名が一番いいと思います。

クレジットカード明細上の利用店名

ユーザのクレジットカード明細に利用店名が記載されますが、
決済サービスによっては利用店名を任意に設定することができます。

クレジットカード明細はカード会社が発行するものなので、
サービスが発行する帳票ではないですが、ついでに調べてみました。

各サービスの利用店名の表記

サービス 利用店名
Adobe ADOBE CREATIVE CLOUD
Atlassian Atlassian
AWS Amazon Web Services
Digicert DIGICERT INC
Digital Ocean DIGITALOCEAN.COM
Docker DOCKER INC
GitHub GITHUB.COM 41JU8
Google GOOGLE*SVCSAPPSCRAFTSMAN-
hasicorp SP * HASHICORP.COM
LiveChat LIVECHAT INC
MailChimp MAILCHIMP
Twilio TWILIO

多くのサービスは、サービス名や会社名になっています。
GitHubは、請求番号を付けてくれています。
明細上に請求番号があると、その引落しがどの請求なのかひも付けしやすくていいですね。
経理で仕分けする側としては助かります。

請求の親切な出し方

調査を踏まえて、親切な請求書の出し方をまとめたいと思います。

PDFが出せる

今でもPDFが出ないサービス、そもそも請求書の体をなしてないサービスも見かけますが、
請求書を経理などに回す側としては、PDFが出力されるのは今時当たり前な気がします。
さらに、PDFをメールで送ってきてくれるサービスは素晴らしいので、後になってもいいので余力があれば対応したいところ。

必要な情報が記載されている

  • 表題 … 請求書なのか領収書なのか
  • 請求番号 … 問い合わせに使う
  • 請求日 … いつ買掛になったか
  • 請求項目 … 国内向けなら税込み・税別といった情報が欲しいですね。また、月額のサービスであれば「役務の提供期間」、つまり何月のサービスに対する請求なのかの記載があるといいです。
  • 請求元情報 … 最低限、会社名・住所があればいいと思います。
  • 宛先情報 … 最低限、会社名または担当者名が欲しいですね。

おわり

自分でサービスを作るときに参考になればと思います。